Zostera japonica Ascherson & Graebner 1907

コアマモ

被子植物門 単子葉類 オモダカ目 アマモ科

日本近海産種リスト: アマモ科

intertidal zone, sandy-muddy bottoms
Obitsu River Mouth Flat, Kisarazu, Chiba, Japan
photo by Kayane Lab. with Kazuyuki Yamada, 18 May 2011
Olympus uTough-8010

Zostera nana コアマモ

Zostera japonica コアマモ 奥谷 楚山 1994 355 fig.11. 沼田 風呂田 1997 158-160, 184, 186. 上出 高橋 2008 42-55. 神谷 2012 251 fig.

  日本全域の漸深帯,汽水域に群生(奥谷 楚山 1994), 日本各地,内湾などの砂泥底,低潮線〜潮下帯(神谷 2012).

  雌雄同株の多年草,開花期は5〜9月,8〜9月頃種子ができる(沼田 風呂田 1997). 田辺湾では現存量が最大となる繁茂期前期(6〜7月),葉条部は減少, 地下茎は減少しない繁茂期後期(8〜9月),全体の現存量が減少する衰退期(10〜1月), 現存量が増加する成長期(2〜5月)に4大別できる(上出 2005). 三重県鳥羽市浦村町小白浜では 1765〜7371株/m2,生殖株形成率 1.2-8.8%, 草体長 6.3-17.6cm,浅場に生育するため高温による成長阻害の可能性(宮松 2011).
  アマモより乾燥に強く,生産速度はアマモに匹敵,潮間帯に生息するため 開発の影響を受けやすくアマモより危機的な状況(上出 高橋 2008).
  田辺湾のコアマモ群落2サイトにて石膏球を用いた平均流速の観測を2回ずつ行った結果は 1.8 および 2.6cm/s,17.8 および 15.6 cm/s(上出 高橋 2008).

  夏季コアマモ生ずる砂底に腹毛類 Aspidiophorus marinus Saito ウミエウロコイタチムシ(岡田ら 1965 427), Tetranchyroderma dendricum Saito イカリトゲオビムシ(同 428 fig.88)がみられる. 葉上にウミナメクジ Petalifera punctulata が生活(藤田 高山 1999).
  田辺湾のコアマモ群落(40 サンプル)では,多毛類,軟甲類,二枚貝類,腹足類など100種内外が得られ, 裸地(11 サンプル)の40種と比べて顕著に高く,裸地の33種はコアマモ群落と共通種(上出 高橋 2008), ただし両試験区のサンプル数(採集面積)の違いによる影響は考察されていない.

01 April 2016

  1. 藤田 大介 & 高山 茂樹 1999 富山県魚津市地先における海草ウミヒルモとコアマモの生育記録(短報). Bull. Toyama Pref. Fish. Res. Inst., 11: 67-70.
  2. 神谷 充伸(監) 2012 海藻 日本で見られる388種の生態写真 + おしば標本. 誠文堂新光社. pp.271.
  3. 宮松 亜美 2011 海草コアマモ群落の季節消長およびコアマモ場造成技術の開発に関する研究. 三重大学学術機関リポジトリ研究教育成果コレクション. pp.45.
  4. 沼田 眞 & 風呂田 利夫 1997 東京湾の生物誌. pp.411.
  5. 岡田 要, 内田 清之助 & 内田 亨 1965, 2004 新日本動物図鑑 復刻版 上. 北隆館. pp.679.
  6. 奥谷 喬司 & 楚山 勇 1994 海辺の生きもの. 山渓フィールドブック, 8. 山と渓谷社. pp.368.
  7. 上出 貴士 2005 田辺湾における海草の分布とコアマモの生態. 第1回瀬戸内海水産フォーラム要旨, 5-6.
  8. 上出 貴士 & 高橋 芳明 2008 和歌山県田辺湾滝内及び内ノ浦の潮間帯のコアマモ群落におけるベントス群集. 日本ベントス学会誌, 63: 45-55.